mamaと絵本
過ごしやすい気候なうえに夜も長い秋は、読書をするには最適な季節。
「普段、なかなか絵本を読んであげる時間をつくれない」という人は、“読書の秋”を利用して、子どもと一緒に絵本を楽しんでみてはいかがでしょう。
今回は、絵本を手掛ける出版社から、3人の編集長にご登場いただき、おすすめの絵本を紹介してもらいました。
作:チョーヒカル/フレーベル館
新進気鋭のアーティスト・チョーヒカルさんが贈る、新感覚たべもの写真絵本です。
表紙の写真は、一房のバナナ。でも、あれれ? 真ん中の一本が…きゅうり!?
チョーヒカルさんは、人のからだや物にリアルなペイントをする作品で注目される、リアルペインティングアーティスト。
表紙のきゅうりは、実はバナナにチョーさんがペイントしたものなんです。
「じゃない!」のタイトルが入った真っ黒な扉ページ(お話に入る前のタイトルページ)を開くと、最初のページに浮かび上がるのは、「これは、きゅうり。」の文字ときゅうりの絵。
でも、ページを開くと? 「…じゃなくて、バナナ!」と、皮をむいたきゅうりの中から、なんとバナナがあらわれます。
次のページには「これは、みかん。」と書かれていて、みかんの絵が登場しますが…。
ページをめくると「…じゃなくて、トマト!」と、今度はみかんの中からトマトが!
そんな具合に、私たちの固定概念をくつがえす、奇想天外な食べものが、ページをめくるたびにあらわれる楽しい一冊です。最後は子どもたちの大好きなアイスクリーム…と思いきや、もうわかりますよね? 「…じゃない!」。
読み聞かせをはじめた直後は、よくわからなくて、「あれっ?」と思った子どもたちも、繰り返しのリズムの中で、だんだん本の意図を理解し、「次はなんだろう?」と当てっこをはじめるはず。予想をはるかに超えた展開に、親子で盛り上がることまちがいなしです!
作:たてのひろし
絵:かわしまはるこ/世界文化社
あまがえるのラッタ、チモ、アルノーの3匹はかくれんぼが大好き。ある日、いつものようにかくれんぼをして遊んでいると、ラッタの体の色が変わってしまい…。
繊細で美しいタッチの絵は、とっても表情豊か。読み進めるうちに、まるであまがえるたちが自分の友だちのように思えてきて、彼らの愛らしさの虜になってしまいます。
またこの一冊は、自然の厳しさや生き物の生態について知ることができる、リアルな“生物画絵本”でもあります。
お子さんをひざに乗せ、一緒に絵柄のひとつひとつを観察しながら、たくさんの発見をしてみてください。
ところで、この絵本には素敵な誕生秘話があります。
ある書店員が、“地元出身の絵本作家”としてかわしまはるこさんを紹介しようと、書店に流通させるために作られた絵本ではない、非売品の『あまがえるのかくれんぼ』を棚に飾りました。
ところが、一人の男の子がそれに目を止めて、「この本がほしい!」とレジに持っていったのだそうです。
そして、そのひと言をきっかけに、その書店員さんは商品化を求める署名運動を開始。
その結果、『あまがえるのかくれんぼ』はハードカバーの絵本として生まれ変わり、全国の書店で販売されることになりました。
一人の少年のひと言から始まり、多くの人たちの力で世に広がっていった本書の魅力をぜひお楽しみください。
作:accototo
新井悦子
井上コトリ
いりやまさとし
オームラトモコ
北村人
コンノユキミ
佐々木一澄
里見佳音
柴田ケイコ
serico
トキタシオン
長谷川朗
林なつこ
はらぺこめがね
100%ORANGE
ひらのゆきこ/ポプラ社
この本は忙しいライフスタイルの人たちに、「1分」で楽しんでもらえるお話を集めた絵本です。
現代は共働きのご家庭の方が多い時代。お子さんに読み聞かせをしたいと思っても食事の用意や洗い物、お風呂に寝かしつけなど、ご両親がやらなければならないことはたくさん!
「なかなか絵本を読む時間がありません…」というご家庭も多いのではないのでしょうか。そこで『1分えほん これよんで!』では、次のような工夫をしています。
・1分で読めるお話をたくさん集めました
・「どうぶつ」「のりもの」「たべもの」「おばけ」などの人気コンテンツが大集合
・さわったり、叩いたりする参加型のストーリーも収録
・見るだけでも子どもたちが興味をもつ写真のページも掲載
お風呂から上がったら、もうこんな時間。「さあ寝よう!」というとき、この『1分えほん』の中からお子さんにどれかを選んでもらって、読み聞かせをしてみてください。
きっと本好きで想像力のたくましいお子さんに育ってくれますよ。
今回紹介したのは1~2歳向けの一冊ですが、0~1歳向けの『1分えほん どれが好き?』もあります。年齢に合わせて選んで、少しでも本に接する時間を作ってみてくださいね。
いかがでしたか? では最後に、絵本を読み聞かせる際の“コツ”についても、ご紹介しておきましょう。
●ゆっくり読む
大人は、文章を読むことに意識がいってしまいがち。
絵本は、読んで字のごとく、「絵の本」です。言葉だけではなく、親子で絵を味わう時間を持つようにしましょう。
ページをめくるタイミングを子どもにゆだねるのもおすすめです!
●まずは親が楽しむ
真面目なパパやママによくあるのが、「1日に絵本を何冊読んであげる」と目標設定をしてしまうこと。
でも、大切にしたいのは、冊数ではなく子どもが楽しんでいるかどうか。そのためには、まずパパやママ自身が楽しむのがいちばんです。
親が楽しんでいれば、子どもにも読み聞かせの楽しさが伝わりますよ!
●スキンシップを大切に
一冊の絵本を親子で一緒に読むと、自然にスキンシップが生まれます。
スキンシップに決まったルールはないので、「膝の上で抱っこしながら」「横並びで」「お互いの顔が見える位置で」など、いろいろな読み聞かせのスタイルを試しながら、子どもとのスキンシップ楽しみましょう。
児玉 真悠子 約10年間、出版社にて書籍編集を経験後、フリーランスの編集&ライターへ。就活やキャリア、ビジネス実用などのノウハウ本を主に担当。現在は、ママ向け&子ども向けのコンテンツ制作をメインに活動中。2児の母でもある。