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子育て世代の日常生活に欠かせない自転車。実は、普段何気なく利用している中にも、事故の危険性は潜んでいます。
【前編】では、子どもと一緒に安全に自転車を利用するための基本的なマナーとルールを学びましたが、
【後編】では2人乗りの際のルールなどをさらに詳しく知りましょう。
【前編】に続き、長年自転車雑誌などの編集に関わり、現在は自転車の安全利用推進委員会のメンバーで、3児の母でもある遠藤まさ子さんにお話をうかがいました。
子どもと自転車に2人乗りする際のルールについては【前編】でお伝えしましたが、今回はチャイルドシートについて詳しくご説明します。
まず、チャイルドシートを前後どちらにすればよいのかで迷われる方も多いですが、それぞれの生活環境に合わせて選ぶのが第一です。しかし、安全を確保するための基準がありますので知っておくことは大切です。
前乗せ | 後ろ乗せ | |
子どもの年齢 | 1歳~4歳未満 | 1・2歳~6歳(小学校就学前まで) |
---|---|---|
子どもの体重・身長 | 15kg以下・90~100cm以下 | 20~22kg以下・115cm以下 |
メリット | ・子どもの様子がわかりやすい ・シートを取り外ししやすい | ・走行時の安定感がある ・使用期間が長い |
デメリット | 成長に合わせて使用できなくなる | 子どもの様子がわかりにくい |
※体重・身長は目安です。メーカーや製品によって異なります。
表からもわかるように、基準以上の体格のお子さんをチャイルドシートに乗せていると、大変危険です。特に小学生以上のお子さんを乗せることは、警察の取り締まりの対象になることも知っておいてください。
お子さんを2人乗せて、合計3人で自転車移動をする際には、前後にチャイルドシートが付いていて、安全基準を満たしている自転車であることが必要です。「幼児2人同乗基準適合車」というシールがBAAシールの下に貼ってありますので、確認してみてください。
※自治体により基準が異なる場合もあります。
また、よくある質問に「赤ちゃんをおんぶして、上の子どもを前後どちらかのチャイルドシートに乗せる場合は、幼児2人同乗基準適合車シールのある自転車でなくてもいいですよね?」というものがあります。
これは、NGです。おんぶされている赤ちゃんも人数にカウントされますので、きちんと「幼児2人同乗基準適合車」に乗ってください。さらに、前後のチャイルドシートにお子さんを乗せて、さらに赤ちゃんをおんぶしている方(4人乗り)も見かけることがあります。これは法律的にNGです! かなり危険なので絶対にやめてください。子育ての状況ももちろん理解できますが、安全を優先しましょう。
安心して親子で自転車を利用するために、さらに気をつけたいことをまとめました。
●ロングスカートやワイドパンツなどは車輪やクランクなどに巻き込まれやすいので、なるべく避ける。着用する場合は、裾をまとめるなど工夫を。
●革靴など靴底がすべりやすいものは注意を。ゴム底のものなどがおすすめ。ハイヒールやバレエシューズ、サンダルなど、甲の浅いものは脱げやすいので避ける。
●車道を走るときには、車に意思表示をしっかりする。曲がる前には、一時停止して目視で後方確認するなど、運転者にアピールを。
●数秒でも子どもを乗せたまま、その場を離れるのは厳禁! 倒れて大事故につながります。
●ブレーキの効き具合やタイヤの空気など、乗る前には自転車を点検する。定期点検は半年に1回行いましょう。
この中で特に大きな事故につながりやすいのは、子どもをチャイルドシートに乗せたまま放置することです。子どもはスマホを見ているから動かない、寝ているから大丈夫などというのは、まったく理由になりません。自転車は、子どもが乗ったまま停車することを想定して作られてはいません。実際に、自転車が転倒して子どもが頭を地面に強打し、救急搬送に至る事故も多数発生しています。
また、自転車は乗り物であり、定期点検もとても重要です。そのため、できるだけ対面店舗で購入することをおすすめします。ネットで格安で購入することができる場合もありますが、購入後に防犯登録などの手間もかかりますし、定期点検のお店を探すのも大変です。購入する際には、専門店のアドバイスを受けて、安心できる自転車を購入することが、長い目で見るとよいことが多いです。
自転車は生活必需品のひとつではありますが、車両でもあるということを改めて認識していただき、交通ルールを守って、安全な自転車ライフを送ってください。
遠藤 まさ子/自転車ジャーナリスト、自転車の安全利用促進委員会メンバー
自転車業界新聞の記者や自転車専門誌の編集などを経てフリーランスへ転向。自転車・育児用品を中心に取材を行い、各誌に寄稿している。自転車の中でも子ども乗せ自転車、幼児車、電動アシスト自転車を得意とし、各種メディアでコメンテーターとして登場する機会も多い。
自転車の安全利用促進委員会:
https://jitensha-anzen.com/