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【前編】子どもと一緒に自転車に乗るときに知っておくべきルール

掲載日:2023/9/6
PIXTA  102873670 ※イメージ写真

子育て世代の日常的な移動ツールとして欠かせないのが自転車です。ニュースなどで自転車に関するルールが変更されていると聞いたことがある方も多いでしょう。今回は、秋の全国交通安全運動(9月21日~30日)に合わせて、子ども乗せ自転車に乗るときのルールを学びましょう。

長年、自転車雑誌などの編集に関わり、現在は自転車の安全利用推進委員会のメンバーで、3児の母でもある遠藤まさ子さんに、子ども乗せ自転車の安全な利用方法についてお話をうかがいました。



はじめに自転車の道路交通法をチェック!

まず自転車乗車に関する基本事項をチェックしましょう。みなさんは、いくつ知っていますか?

■自転車安全利用五則

1 原則は車道の左側を通行。歩道を走るのは例外で、歩行者を優先する
2 交差点では信号と一時停止を守って、安全確認する
3 夜間はライトを点灯する
4 飲酒運転は禁止
5 ヘルメットを着用する(大人も子どもも)

警察庁交通局資料「自転車は車のなかま~自転車はルールを守って安全運転~」より引用
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/bicycle/info.html



自転車に乗る際には、これらのルールを知り守ることが安全につながります。

自転車は運転免許証も必要なく、車検もないということから、生活用品や育児用品の延長線の感覚でとらえている方が多いと思いますが、法制上では軽車両というれっきとした車なのです。なので、 ルール(道路交通法)は絶対に守らなくてはいけません。また、電動アシスト自転車が普及してきたこともあり、子ども乗せ自転車は重量化しているので、取り扱いには注意が必要です。

自転車は原則として車道の左側を走行することが定められていますが、時には歩道を通行しなければならない場合もあります。法的には、自転車が歩道を通行する際には徐行または降りて押し歩くことが定められています。徐行は一般的に時速6~9kmと言われていますが、この速さは歩く速度とほとんど変わりません。重量がかさみがちな電動アシスト自転車で子どもを乗せた状態で徐行することは、バランスがとりづらく転倒の危険もありますので、歩道を通行する際には、できるだけ押し歩くことをおすすめします。

お子さんを乗せて押し歩く際にバランスがとりづらいという方は、腕だけでハンドルを持って自転車を支えようとしているのかもしれません。腕だけでなく、サドルを自分の腰に当てて、両腕と腰の3点で支えようとすると安定感が増しますので、試してみてください。

加えて、歩道を通行する際には車道側を通行するというルールもあります。これは例えば進行方向左側の歩道を通行する場合、歩道内右側を通行することになり「車道左側通行」と混乱しやすいのですが、間違わないようにしましょう。



自転車事故の割合は増えている

自転車購入の際に、機能性や見た目を重視して購入される方も多いですが、一番大切なのは安全かどうかです。

mamaomoi グラフ 警察庁交通局資料「自転車は車のなかま~自転車はルールを守って安全運転~」より引用

警察庁交通局資料「自転車は車のなかま~自転車はルールを守って安全運転~」より引用
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/bicycle/info.html

上記のグラフにあるように、交通事故は昔に比べ全体数は減っているので、自転車事故も数は増えてはいません。しかし、交通事故全体の割合の中で、相対的に自転車事故や被害者の割合が増えています。そのこともあり、近年、自転車に関する道路交通法が改正されています。中でも大きな変化と言えるのが、全年齢に対してヘルメット着用が義務化されたことです。

みなさんのお子さんをはじめ、子どものヘルメット着用はすでに一般的に広まっていますが、それは2008年から子どものヘルメット着用が努力義務化され、15年が経過していることも背景にあると言えるでしょう。

現状、ヘルメットの非着用に関する罰則はありませんが、お子さんがヘルメットをかぶっている横でママやパパはかぶっていないという状況は、あまり好ましいものではありません。お子さんに安全にルールを守って自転車に乗ってもらうためにも、ぜひママ・パパもヘルメットは着用していただきたいですね。



子どもと2人乗りする際のルールは?

子育て真っ最中の方には、子どもを乗せての自転車移動は必須という方も多いでしょう。しかし、必然的に1人乗りよりも2人乗りのほうがリスクは増えていきます。2人乗りの場合にもきちんとルールはあります。早速、自転車の2人乗りについてチェックしていきましょう。

●運転者が16歳以上であること ●同乗する子どもは6歳(小学校入学前)まで ●抱っこひもなどで確実にせおう(おんぶ)※抱っこはNG! おんぶは4歳未満まで ●幼児用座席(チャイルドシート)が設置されている自転車を使用する(前でも後ろでも可) ●子ども2人を同乗させる場合には「幼児2人同乗基準適合車」の自転車に乗ること(おんぶで同乗する乳幼児を含める)※愛知県は1人がおんぶの場合は適合車以外でも可
<参考サイト>埼玉県警察本部
https://www.police.pref.saitama.lg.jp/f0010/kotsu/jyosyaninnzu.html



先にあげた「自転車安全利用五則」に加えて、上記のルールを守りましょう。

かつては大人同士や子ども同士での2人乗りが日常的に見られたこともありますが、今は運転者・同乗者の規定が厳密に決まっています。幼稚園や保育園などの送り迎えの際には自転車利用は可能ですが、お子さんが小学校に入学した時点でチャイルドシートに乗せることはできません。学校や習い事などの送迎時に2人乗りすることはやめてください。
そして、必ずチャイルドシートを設置している自転車を使用しましょう。荷台などに座っての移動は絶対にNGです。

さらに、ヘルメットの着用と同じくらいに重要なのは、シートベルトです。法的な規制はありませんが、シートベルトはお子さんの命を守るためにとても大切なものです。実際、シートベルトをしていなかったために、転倒時に子どもだけが投げ出されてしまい、その際に通りがかったトラックにひかれて亡くなったという痛ましい事故も起こっています。大切なお子さんを守るためにも、ヘルメットをかぶってシートベルトをする、これは必ず習慣化してください。

普段、日常生活で当たり前に利用している自転車ですが、死亡事故を招く危険さもはらんでいます。不慮の事故に巻き込まれないように、ルールを再度確認し、守ることがとても大切です。





【後編】では、子ども乗せ自転車を利用する際に改めて知っておきたい基準や、子どもを2人乗せる場合のルールなどを詳しく紹介します。





mamaomoi/遠藤 まさ子

遠藤 まさ子/自転車ジャーナリスト、自転車の安全利用促進委員会メンバー

自転車業界新聞の記者や自転車専門誌の編集などを経てフリーランスへ転向。自転車・育児用品を中心に取材を行い、各誌に寄稿している。自転車の中でも子ども乗せ自転車、幼児車、電動アシスト自転車を得意とし、各種メディアでコメンテーターとして登場する機会も多い。
自転車の安全利用促進委員会: https://jitensha-anzen.com/

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