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地震や大雨による洪水など、自然災害はいつ襲ってくるかわかりません。とくに赤ちゃんがいる家庭では、赤ちゃん用の防災グッズを備えるとともに、災害時にどんな行動をとればいいかをシミュレーションをしておくことも大切です。危機管理アドバイザーの国崎信江さんに、準備しておきたいグッズや災害時の避難についてうかがいました。
停電や断水、物流ストップなどが想定される災害時。万が一ライフラインが止まったとしても、できるだけ赤ちゃんにストレスをかけないよう、防災用の備品は日頃から使い慣れているものを準備しておきましょう。
必要な量は、在宅避難なのか、避難所に行くのか、あるいは災害疎開をするのかによっても変わります。ただ、「赤ちゃんの防災グッズは普段使っているもの」が基本。ミルクやおむつなどの消耗品に関しては、常に1週間分以上はストックがあるようにしておくとよいでしょう。
●飲み物・食べ物関連
□授乳ケープ
避難所で授乳する際に活躍。おくるみなどでも代用可能。
□液体ミルク、スティック・キューブタイプの粉ミルク
缶の液体ミルクに直接つけられる乳首もあり。外出時などにときどき使って慣れされておくと安心。
□調乳用の水
1日の調乳量×7日分で算出。
□ベビーフード(レトルト離乳食)
そのまま食べられるパウチや瓶の離乳食。お皿に移す必要もないので便利。
□おやつ
ベビーせんべいやボーロなど。9カ月以降の補食として。ぐずったとき、気分を変えるのにもおすすめ。
□哺乳びん(使い捨てタイプがおすすめ)、マグ、離乳食用スプーン
スプーンはシリコーン製や木製など、赤ちゃんが使い慣れているものを。
●衛生用品
□紙おむつ、おしりふき、防臭袋
普段使っているものに加え、1サイズ上のサイズも1パック程度ストックしておくと安心。
□ウェットティッシュ、除菌シート
□歯みがきシート
断水時もお口のケアができる。普段から使って慣れておきましょう。
□常備薬、小児用の解熱剤、下痢止め
□ベビー用爪切り
赤ちゃんの爪は数日でもすぐ伸びて、薄くて鋭利。避難中もこまめに爪切りができるよう、忘れずに避難バッグに入れておきましょう。
□体温計、鼻水吸い器
体調の変化を見逃さないよう、避難中は毎日体温チェックを。おでこや耳でサッと測れるタイプが便利。
●衣類関連
□ベビー服、肌着、スタイ
食べこぼしやよだれなどで、首周りが汚れやすい赤ちゃん。災害時は洗濯もままならないので、スタイを多めに準備しておくのがおすすめ。
□食事用スタイ
汚れてもサッと拭き取りやすい食事用スタイ。かさばらないビニール製がおすすめ。
□バスタオル、ブランケット、おくるみ
床に敷いたり、体温調節のために体にかけたりと、幅広い用途に使えます。
□おもちゃ、ぬいぐるみなど
ガラガラ、布絵本、ぬいぐるみなど、持ち運びやすいサイズのものを。
□抱っこひも
避難する際も抱っこひもを活用しましょう。
赤ちゃんを連れて避難所で生活をするのは、非常に過酷です。赤ちゃんが泣けば、周囲の人の視線も気になるでしょう。暑さ、寒さなどから体調を崩せば、免疫力の未熟な赤ちゃんは急激に重症化してしまうことも考えられます。
また、たとえ自宅が安全で在宅避難ができたとしても、電気、ガス、水道などが止まっていれば、普段通りの生活とはいきません。もし赤ちゃんの体調に異変があったときにも、被災地ではすぐに小児科医の診察が受けられないこともあります。
ライフラインが止まるような大規模災害が起きた場合には、赤ちゃんの健康と安全を第一に考え、すみやかに被災地を離れることを検討しましょう。被災地から車で40分ほど離れれば、多くのケースでは通常のインフラが機能しているはずです。道路が寸断してしまっていても、迂回路を使えば車で迎えにきてもらうこともできます。災害から3日以内には、実家や友人宅などに「災害疎開」をするのがよいでしょう。
遠方に頼れる実家や友人宅がない場合は、ホテルなどの宿泊施設も検討しましょう。
赤ちゃん連れファミリーの場合は「災害疎開」が基本ですが、疎開先が決まるまでは避難所に身を寄せるケースもあるでしょう。
自宅から避難をする場合は、ベビーカーに1日分の飲料水やミルク、赤ちゃんの着替え類などをのせ、赤ちゃんは抱っこひもで抱っこをして避難所へと向かいます。頭上から何かが落ちてきた場合にもサッと赤ちゃんの全身を守るためには、おんぶではなく抱っこが基本です。
避難所生活でもっとも気をつけたいのは、赤ちゃんの脱水症状と下痢です。母乳やミルクは赤ちゃんが欲しがるたびに十分に与えましょう。しっかりおしっこが出ているか、うんちの回数や状態に変化はないか、チェックすることも忘れずに。
赤ちゃんは、ママ、パパの表情を敏感に感じとります。不安と緊張のなかでも、赤ちゃんの前ではいつものやわらかな笑顔を見せ、たっぷりのスキンシップで安心させてあげましょう。避難所に入ったときには、周囲の人に赤ちゃん連れであることを伝えて挨拶をし、理解を得ておくと過ごしやすくなるでしょう。
ただ、実際には多くの赤ちゃん連れファミリーが1〜2日で避難所を出て、自宅に戻る、車中泊にする、被災地を離れる、といった選択をしています。避難所は一時的に身を寄せる場所とし、早急に疎開の手はずを整えましょう。
国崎 信江/危機管理教育研究所代表、危機管理アドバイザー
女性および母としての視点から、家庭を守るための防災対策を提唱している。
『決定版 巨大地震から子どもを守る50の方法』(ブロンズ新社)、『震度7から家族を守る家:防災・減災ハンドブック』(潮出版社)、『知っておきたい防災新常識大事典』(洋泉社)など、著書・監修本多数。
危機管理教育研究所:
https://www.kunizakinobue.com