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ママ小児科医に聞く、夏に多い子どもの皮膚トラブル予防

掲載日:2023/7/5

赤ちゃんや子どもの体は小さくても、汗を出す汗腺は大人と同じだけの数があるため、とっても汗っかき。そのため、夏はさまざまな皮膚トラブルに悩まされる赤ちゃんやお子さんも増えていきます。
そこで今回は、小児科専門医の森戸やすみ先生に、夏に多く見られる赤ちゃんや子どもの皮膚トラブルについて解説していただきました。



夏に多い皮膚トラブルにはどんなものがあるの?

普段はほとんど皮膚トラブルがないようなお子さんでも、夏になるとさまざまな皮膚トラブルに悩まされることが多くなります。主に夏場に多い皮膚トラブルは以下のようなものです。

あせも
汗が皮膚にたまった状態で炎症を起こし、赤くブツブツした状態になるものです。最初はブツブツしているだけですが、悪化するとかゆみを伴うようになります。子どもの場合は、胸や脇、太もも、頭、鼻の頭、額などにもできます。

■対処方法
皮膚科や小児科で薬を処方してもらい、塗りましょう。

■予防方法
かきこわしてとびひなどになることも多いので、とにかくかかないことが大切です。汗をかいたらふきとり、シャワーを浴びるようにしましょう。シャワーが難しいときには、服を着替え、涼しい場所に移動しましょう。
おむつかぶれ
おむつの中の皮膚が赤くなったり、ブツブツした発疹ができたり、ジクジクしたりします。ひどいときには皮がむけてしまうことがあります。夏は湿度が高い分、おむつかぶれも多くなる季節です。

■対処方法
かぶれがひどくなってしまった場合は、皮膚科や小児科で薬を処方してもらいましょう。

■予防方法
かぶれがひどくなる前に、まず、おしっこやウンチをきれいに洗い流しましょう。毎回、ぬるま湯で洗い流すのが理想ですが、難しい場合は多めのぬるま湯に浸した布や紙で優しくふきとってください。その後、皮膚を保護してくれるオイルやワセリンを塗ります。これらは、おむつ替えのたびに塗りなおしてください。いつもは布おむつを使っている場合でも、夏の間は通気性のよい紙おむつにすることも予防のひとつとなります。
虫(蚊)さされ
さされることで、皮膚が蚊の分泌液に反応し、赤くなったりかゆくなったりします。乳児期にはかゆくなるなどの自覚症状が出ることは少ないのですが、成長するにつれてかゆみなどの反応が増えていきます。かきこわして、とびひになることも多いです。

■対処方法
まずは赤ちゃん・子ども用の市販薬を使用するのもよいでしょう。患部を冷やすのも効果があります。まれに手の甲をさされただけなのに、肘から下がひどく腫れてしまうなど、重症化するときがあります。その場合はアレルギーの薬が効果的なことが多いので、早めに皮膚科か小児科を受診してください。こういったひどい腫れは1~2歳に多く、学校に行く年齢になると起こりにくくなります。

■予防方法
虫除け剤を使って予防することが大切です。スプレータイプだと子どもが薬剤を吸い込んでしまうことが多いので、塗るタイプがおすすめです。イカリジンが主成分であれば、子どもでも回数制限なしで使えるので、こまめに塗り直すことができます。ディートという成分の薬剤もありますが、6カ月未満の乳児には使用不可です。また、12歳までは使用制限もあるので、用法・容量を守ってください。
とびひ
あせもや虫さされなどの傷から菌が体内に入ることででき、水ぶくれやかさぶたになります。特に水ぶくれは破れやすいうえにジクジクとした状態になり、患部を触れた手や衣服などから感染がどんどん広がっていきます。顔や体幹部分など全身にできる可能性があるので注意が必要です。ほかの人にうつしたりする場合があるので、プールは控えましょう。

■対処方法
患部がジュクジュクしてきたら、皮膚科か小児科を受診しましょう。

■予防方法
あせもや虫さされの時点でかゆみを取ることが大切です。かゆいブツブツやカサカサは、かゆみ止めや、病院で処方してもらっている軟膏などを塗ってください。また、患部が冷えるとかゆみは減少しますので、ハンカチでくるんだ保冷材などで冷やすのもおすすめです。直接、皮膚をかかせないために、長袖や長ズボンの服にすることも効果があります。
乳児脂漏性湿疹
生後、数週間から数カ月の間にできる湿疹です。多くの場合は頭部(頭、眉毛、眉間、鼻、耳の周囲)や体にできます。皮膚が赤くなり、その後、黄色いカサカサしたかさぶたになります。

■対処方法
石けんで洗ったあとに保湿するとよくなることが多いですが、よくならなかったら皮膚科や小児科を受診しましょう。
水いぼ
ウイルス感染によってできる、ドーム状に盛り上がった1~5mm大の半透明の隆起物です。接触することで伝染します。潜伏期間が14~50日と長いので、どこで感染したかの特定は難しいです。

■対処方法
放置しても自然に治ることがほとんどですが、6カ月~5年かかります。皮膚科や小児科で取ることも可能です。
小児アトピー性皮膚炎
夏は汗を多くかくことで悪化しやすいです。ただ、汗をかくことがダメなのではなく、汗をかいたまま放置して不潔にし、さらにかゆくてかいてしまうことで悪化するのです。

■対処方法
かかりつけ医に通常より頻繁に受診して指示を受けるのも大切です。


夏の皮膚トラブルの原因と対策は?

夏ならではの皮膚トラブルの原因として、汗をかくことや紫外線、ウイルスや細菌感染などが考えられます。皮膚トラブルがおき、かゆみがひどかったり長引いたりする場合などは、早めに皮膚科か小児科を受診することをおすすめします。 以下の正しい皮膚ケアを行って、楽しい夏を過ごしてくださいね。

① 皮膚を清潔に保つ
汗をかくことが皮膚トラブルにはよくないと思っている方も多いですが、汗をかくことは決して悪いことではありません。大切なのは汗をかいたあと、きちんとケアをすることです。汗をかいたまま放置し、汗をふかずにビショビショの服のままでいることで、汗が皮膚の上にたまり、雑菌も増え、赤くなったりかゆくなったりし、もともとあった皮疹の悪化などの症状につながります。

汗はこまめにふきとり、可能であれば着替えたり、シャワーなどで洗い流したりしましょう。汗をふくときによいのは、水に濡らしたハンカチやウェットティッシュです。ただ、ウェットティッシュにはアルコールやパウダー配合のものもあり、子どもの皮膚には刺激が強いことも多いので注意してください。乳児の頃によく使うおしりふきなどは、水分が水だけのことが多いので、成長してからも汗ふき用に使用するのもおすすめです。

② 夏でも保湿はしっかりと
シャワーのあとには必ず保湿をしましょう。あせもなどは、保湿剤を塗ると症状がひどくなるのではないかと考える方がいますが、むしろ逆で、保湿剤を塗ることによって皮膚の状態を整えてくれます。
保湿剤は市販のもので問題ありません。特に、人気のあるヘパリン類似物質は保湿効果が高いのですが、処方してもらわなくても市販薬があります。また、刺激感が少なく、小さな子どもでも使いやすいのはワセリンなのですが、かたくて伸びが悪いので塗りづらい面もあります。お子さんによっては、ワセリンやクリームなどでベタベタするのを嫌がることもあります。その場合は、夏ならローションや泡状の保湿剤でも十分です。

③ 服装や室内環境に気をつける
服は、風通しがよく目が詰まっている素材で、ある程度の厚みがあるものがおすすめです。色は黒よりも白などのほうが虫にさされにくいとも言われています。また、できれば袖があるもののほうが、皮膚トラブルには安心です。脇や膝にたまった汗を服が吸収してくれるので、あせもができづらくなります。必ずしも長袖にする必要はありませんが、袖なしよりも半袖、七分袖などがよいでしょう。吸湿速乾などの素材の服でもよいですが、それに安心して、長時間、汗で濡れた服を着続けることは避けましょう。

エアコンの冷気は常識の範囲であれば、皮膚トラブルへの影響はほとんどありません。ただ、エアコンのフィルターを掃除していなくて、ホコリやカビが室内に舞ってしまうのはよくないので、その点は注意が必要です。むしろ、エアコンの使用を躊躇したり、高めの温度設定にしたりして、室内でも汗をかきながら我慢するほうが、皮膚にはよくないことです。エアコンは適宜使用するようにしてください。
時々、子どもには汗をかかせなければいけないと思い込み、暑さを我慢させる方がいますが、危険なので絶対にやめてください。熱中症の危険性も高まり、あせもも悪くなります。子どもに暑さを我慢させてもいいことはありません。

④ 日焼け対策も大切
紫外線は皮膚トラブルを直接悪化させるものではありませんが、過度な日焼けをすると、炎症を起こして赤くなったり、ヒリヒリと痛くなったり、色素沈着を起こしたりします。皮膚本体へのダメージにつながりますので、日焼け止めは塗るようにしてください。小さな子どもには紫外線散乱剤がメインの製品がおすすめです。

※「赤ちゃんの日焼け対策」の記事も参考にしてください。
https://mamaomoi.coopkyosai.coop/study/20256.html


森戸 やすみ/小児科医
一般小児科、NICU勤務を経て、2020年より、東京都台東区谷中に「どうかん山こどもクリニック」を開院。『小児科医ママが今伝えたいこと! 子育てはだいたいで大丈夫』(内外出版社)をはじめ、著書・監修本多数。

どうかん山こどもクリニック: https://www.doukan-yama.jp/

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