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離乳食から幼児食への移行が進む中、ママが大いに頭を抱えるのが「遊び食べ」。一生懸命作った食事をぐちゃぐちゃにされたり、「いらない」と放り投げられたり…。心に余裕がないときは思わず怒りが爆発してしまうこともありますよね。 そうした遊び食べは、なぜ起きるのでしょうか。そしてどのように対応すればいいのでしょうか。離乳食・幼児食アドバイザーの隅弘子さんにうかがいました。
遊び食べとは食べ物を使って遊ぶ、子ども特有の行為のことです。厚生労働省の平成27年度「乳幼児栄養調査」によると、2~3歳の保護者の実に4割が「遊び食べに悩んでいる」と回答しています。
ところで、この時期の子どもたちは、なぜ遊び食べをするのでしょうか? それは、子どもにとって食事は未知のものであり、食事と遊びの区別が明確についていないためです。
「子どもにとって、食べ物の安全性は五感を使って確認すべきもの。『固いのかな?』『熱くないかな?』といったことを、見て、触って確かめたいだけなんです」(隅さん)
また、「食べ物をつかんで、口に入れる」という大人なら簡単にできる行為も、子どもにとっては大変な作業。自分の手と食べ物の距離、スプーンですくいやすい角度、力の入れ方などを一つずつ確かめながら進めていきます。「何やってるの!?」「ちゃんと食べなさい」ととがめたりせず、「食べる練習をしているんだな」という心持ちで、あたたかく見守ってあげましょう。
ちなみに、遊び食べは成長に従って徐々になくなっていき、4~5歳になればほとんど見られなくなります。
成長するための“大切なステップ”でもある遊び食べですが、どうしてもイライラが止められず、子どもに対してきつい言い方をしてしまうこともあるでしょう。そこで、遊び食べのストレスを軽減するためのアイデアを、隅さんに紹介してもらいました。
1.ある程度自由に遊ばせてから食事に移行
ぐちゃぐちゃに汚れた手であちこちを触り、おかずを床に落として…。つい、ストレスを感じてしまう光景ですが、子どもはあくまで練習をしているだけ。食べ物に興味があるからこそ手で触ろうとするのです。
また、練習をしているだけですから、怒られても「なぜ怒られているのか」を理解することができません。ある程度自由に遊ばせ、満足させた後に「これは食べ物だから、今度はお口に入れてみようね」と声を掛けて、食べるように促すのがコツです。
2.長めのポケット付きエプロンで汚れ対策
子ども用のポケットつきエプロンは胸くらいの長さがポピュラーですが、食事のときは長め(ひざ丈くらい)のものが便利です。より広い範囲の食べこぼしをキャッチしてくれるので、洋服や床の汚れが少なくて済みます。また、床にもレジャーシートを敷くなどして、「汚されても困らない工夫」を心掛けましょう。
3.大人が食べ方のお手本を見せてあげる
この時期の子どもたちにとっては、「大人の動きをまねすること」が一番の学習方法。早く食べてほしい…」なんて思いながら見つめているだけだと、子どもは戸惑ってしまいます。まずは、ママが普通に食事をしている姿を見せてあげましょう。
おすすめは「アーンごっこ」。こどもにアーンをしたら、「ママにもちょうだい!」と同じことをするように促してみましょう。上手にできたら褒めてあげてくださいね。
4.好きな温度や食感をしっかりと把握する
子どもが食べ物を拒否する理由は味付けだけではありません。一般的には「人肌程度の温かさ」が推奨されていますが、子どもだって好みは千差万別。冷たいものが好きな子もいれば、熱めのものを好む子もいます。「離乳食のなごりで柔らかいものを与えていたけれど、実は固いほうが好みだった」といった事例もよく聞きます。
毎日注意深く見て、少しずつ子どもの嗜好に近づけてあげることで、しっかり食べてもらうようにしましょう。
5.食事は時間を決めて切り上げる
子どもが食事に集中できる時間は30分が限界。遊び食べで「どうしても食事時間が伸びてしまう…」という場合は、食事の時間を決めてしまうのも手です。30分なら30分と決めて、それを過ぎたら食べたそうな様子を見せていたとしても「もうおしまいね」と切り上げてみましょう。そうすることで、“集中して食べること”を覚えてもらえるうえに、幼稚園などの集団生活に向けての練習にもなりますよ。
隅弘子(すみ・ひろこ)/母子栄養指導士/管理栄養士。mamaful代表。一般社団法人 母子栄養協会に所属し、「食の視点からママに寄り添う」をモットーに、食・健康についてのセミナーの講師や、子育て支援施設での栄養相談などを行う。一児の母。
一般社団法人 母子栄養協会:http://boshieiyou.org/
mamaful:http://mamaful.com/