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おうちで過ごす時間が増えた現在、「以前より家事に費やす時間が増えた」という方も少なくないのでは?
「せっかくなら、より楽しく、より快適に家事がこなせるように工夫したい」と感じている人もいらっしゃると思います。
だとしたら、道具にこだわるのもひとつの方法! 使い勝手が抜群で、なおかつ見た目も美しいアイテムが手元にあれば、それだけで家事へのモチベーションアップにつながります。
そこで今回は、料理研究家、フードスタイリストとして活躍する野口英世さんのキッチンにおじゃまして、料理時間をワンランクアップさせる“とっておきアイテム”を紹介してもらいました。
“マニア”と呼んでもいいほどの料理道具好きで、「展示会や小売店でのリサーチは、もはやライフワークといっても過言ではありません!」と語る野口さん。その言葉どおり、開放感あふれるキッチンには、選りすぐりのアイテムが美しく収納されています。そのなかから、野口さんが真っ先におすすめしてくれたのは「やくさじ」でした。一見すると、ふつうのスプーンに見えるのですが……。
「そのふつうっぽさが、このやくさじのポイントなんです。やくさじは、いわゆる計量スプーンなのですが、一般的な計量スプーンとは違って受け皿の部分が浅く、角もありません。そのため、すくった調味料などが受け皿部分にたまりにくく、計量する・混ぜる・すくうといった3つの作業が、とてもスムーズに行えます」
加えて、柄の部分の細さや長さも、野口さんのお気に入りポイントなのだとか。「計量スプーンは柄が太いものが多いのですが、これは、食事などで使うスプーンと同じような細さなんです。そのため手になじみやすくて、見た目もスマート。食卓にそのまま出しても違和感がありません。十分な長さもあるので、深めのボウルや鍋に調味料を入れて混ぜる作業も、難なくこなせます」
仕事柄、さまざまなタイプの計量スプーンや調理用スプーンを持っているそうですが、「気がつくと、つい手が伸びてしまう」のが、このやくさじだといいます。
新潟県燕市の金属加工メーカーがプロデュースする台所道具ブランド「conte(コンテ)」の「やくさじ」。大さじ(15ml)と小さじ(5ml)があります。
続いて野口さんが、「ないと困るようなアイテムではありませんが、あったら絶対に便利です」と力説してくれたのが、ステンレス製の「粉ふりスプーン」です。粉ふりスプーンはお菓子作りなどに活躍するアイテムですが、野口さんが重宝するのは、「ムニエルやソテーを作るとき」なのだそう。
ムニエルやソテーを作るときは、魚や肉にあらかじめ小麦粉をまぶしておくとうまみが逃げにくくなり、表面がカリッと仕上がります。ただ、小麦粉をまぶすときは、できるだけ均一に振りかけないと、衣が厚くなりすぎたり、まだらになったりして、見た目や食感が悪くなりがちです。
「でも、粉ふりスプーンを使えば、そんな失敗がなくなります。スプーンの底の部分に細かな目が開いているため、小麦粉をすくって振りかけるだけで、薄く、均等にまぶすことができるんです。このほんのひと手間で、ムニエルやソテーの見た目と味が格段にアップしますよ」
ステンレス製なので耐久性にすぐれていて、さらに、茶こしに比べると洗いやすく衛生的なのもメリット。まさに「かゆいところに手が届く」アイテムといえそうです。
家庭用品メーカー「マーナ」の「ステンレス 粉ふりスプーン」。目の部分は、粉が均一に振れて、しかも目詰まりしにくい形状・大きさに工夫されています。
「ここのところ、自宅で料理をする機会が増えている影響もあって、料理道具にこだわる人が増えている」と野口さん。なかでも、ちょっとしたブームになっているのが鉄製のフライパンなのだとか。
とはいえ、鉄製のフライパンには、“手入れが面倒”というイメージがつきまとうことも事実。「憧れるけど、使いこなせるか心配」という方も多いのではないでしょうか。そんな鉄製フライパン初心者の方にもおすすめできる一品として、野口さんが紹介してくれたのがビタクラフトの「スーパー鉄フライパン」です。
「スーパー鉄フライパンは、『窒化加工』という特殊な加工が施されています。聞き慣れない言葉かもしれませんが、これは、さびが大敵な船や飛行機などにも使われている加工のこと。そのおかげでとにかくさびにくく、使いはじめの『焼き入れ』や、使用後に油を塗る『油引き』をしなくてもOKなんです」
焼き入れや油引きといったメンテナンスをしなくても使えるのは、初心者にはありがたいですよね。ところで……。プロや料理好きのなかには、鉄製のフライパンを愛用している方がたくさんいらっしゃいますが、鉄製のフライパンにはどんな魅力があるのでしょう?
「鉄製のフライパンは、さびやこげに気をつければ、一生ものにもなり得ます。つまり、使いながら育てていくよろこびがあるんです。そして何より、料理がおいしく仕上がるのが最大の魅力です。鉄製フライパンは強火で調理できて、蓄熱性・保温性にもすぐれているため、食材に熱が均等にまわりやすい。だから、外はカリッと、中はしっかり火が通りつつもジューシーという、理想の状態に仕上がるんです」
なお、スーパー鉄フライパンは、ほかの鉄製フライパンに比べて軽めなので、「鉄製フライパンは重たいから」と敬遠していた方にも向いています。
ビタクラフトの「スーパー鉄」シリーズのフライパン。表面には、パッと見ではわからないほどの凹凸があり、食材とフライパンがくっつきにくくなっています。
最後に、野口さんからこんなアドバイスをいただきました。
「おうち時間が増えて、日々の料理を苦痛に感じている方もいるかもしれません。でも、せっかく料理をするなら、やっぱり楽しいほうがいいですよね。そして、それをかなえてくれるものが料理道具だと思います。お気に入りのバッグや靴を身につけると気分が上がるように、使いやすくてお気に入りの道具があれば、料理が楽しくなるもの。おっくうだった料理の時間を『ごほうび』に、いつもの味を『おいしい!』に変えてくれますよ」
今回ご紹介した愛用品を参考にしながら、みなさんも“自分なりのお気に入り”を見つけてみてくださいね!
野口英世/料理研究家、フードスタイリスト
ファッショナブルさとおいしさを兼ね備えたスタイルの料理や、無理なく作ることができるスマート時短レシピに定評がある。『turk フライパンクックブック』『使いやすい台所道具には理由がある』(ともに誠文堂新光社)など著書多数。