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子どもがメイクに興味を持ち始めたら、親としてどう対応するのがよいでしょう? 「まだお化粧なんて早いよ」とやんわり遠ざける? それとも積極的にメイクを教える?
8歳と3歳の女の子のママでもある人気ヘア&メイクアップアーティスト・イガリシノブさんに、「キッズメイク」とどう向き合うかをうかがいます。
小学生はもちろん、幼稚園の頃からメイクに興味を持つ子が増えています。
ハロウィンやクリスマス、七五三などのイベントでメイクをした楽しい思い出から、興味を持つ子もいるでしょう。また、YouTubeやTikTokなどでメイク法の動画を見て「自分もやってみたい」とチャレンジする子も多いですね。
メイクに関心を持つ年齢は確実に低年齢化しているため、「まだ小さいのに、もうお化粧?」と戸惑ってしまう親も多いかもしれません。
でも、頭ごなしに「まだ早い」「必要ないよ」と否定するのは考えものです。
子どもたちは親以外にもさまざまな場所から情報を得ています。友達にメイクを楽しんでいる子もいるかもしれないし、SNSで同年齢の子がキッズメイクをしている姿も目にするでしょう。理由もなく禁止されれば、親に隠れてこっそりチャレンジしたり、抑圧された気持ちを別のところで発散したりすることも心配です。
「メイクは大人になってから」という親世代の常識は、いまや過去のもの。子どもが安全に楽しめるようにサポートしてあげるのが親の役割かな、と思います。
子どもの肌は大人よりも薄く、デリケート。肌に直接ふれるコスメは、パッケージの裏面の成分表示や、製品のHPなどをよくチェックし、肌にやさしいものを選びましょう。キッズ用のコスメは、肌への刺激となる着色料、香料、防腐剤などの成分を含まないものが多く、安心して使えるものが多いですね。
初めて使うときは、腕の内側などに少量つけてパッチテストをしてからにするとさらに安心です。赤みやかゆみが出ないことを確かめてから使いましょう。
あらかじめ「もしピリピリしたらすぐに落とそうね」「熱く感じたり、痛みがでたりしたら、がまんしないですぐに教えてね」と伝えておくことも大事です。
また、メイクを楽しんだ日は、しっかり洗顔してメイクを落とすこと、保湿などのスキンケアをすることも教えましょう。石鹸でするんと落ちるアイテムを選ぶことも、子どもたちのデリケートな肌を守るためのポイントです。
子どものメイクには、ファンデーションなどのベースメイクは不要です。目元やリップなどのポイントメイクで、「かわいくなりたい」という気持ちを叶えましょう。おすすめは、キラキラしたアイテムを取り入れること。ラメやパールが入ったアイライナーを引くだけでも、かわいさがアップします。
また、令和キッズたちに人気が高いのは、涙袋メイクとリップ。
わが家の長女も休日や特別な日にはメイクを楽しんでいますが、彼女いわく「メイク初心者が最初にやらなきゃならないのは、リップをはみ出さないで塗れるように練習することだよ」とのこと(笑)。
親世代は、アイシャドウからメイクを始めた人が多かったかもしれませんが、トレンドの移り変わりを感じますね。
「ママも今どきメイクを知って、かわいくなりたい!」と、子どもと一緒にメイクの練習をするのもいいでしょう。
マニキュアも子どもたちが手軽に取り入れやすいアイテム。爪に好きなシールを貼ってからトップコートを塗ると、簡単にネイルアート風になりますよ。
反対に、私がキッズメイクに必要ないと思うのは、眉メイク。子ども時代に眉毛をカットしたり、抜いたりするのはおすすめしません。特に眉毛を抜くのは肌への負担も大きいもの。今はナチュラル眉がトレンドでもあります。もし子どもが「眉を整えたい」と言ったときには、自然な眉ですてきな人の例をたくさん見せてあげると納得しやすいかもしれませんね。
メイクを楽しむためには、ルールを決めておくことも大事です。
たとえば、「学校や幼稚園・保育園にはしていかない」「メイク用品を学校には持っていかない」「メイクをするときは、大人と一緒にする」など。
また、使い方やお手入れ法も、一緒に教えていけるとよいですね。
コスメやメイク道具は専用ポーチやメイクボックスにしまうようにすると、愛着を持って管理ができるでしょう。
メイクやおしゃれに関する「どこまで」を話し合っておくことも大切です。
「脱毛」や「ヘアカラー」などにも早くから興味を示す子が増えています。子どもでも受けられる脱毛や、キッズ対応の染毛剤も登場しています。「費用はどのくらいかかるのか」「どんなリスクが考えられるのか」「大きくなってから楽しむためにとっておくことも選択肢」など、対等な立場で話し合って、「今はここまでの範囲で楽しむ」という線引きを決められるといいですね。
おしゃれやメイクに関心を持つ子どもの姿を見ると、「今の子はおませだから」なんて言葉が頭に浮かぶかもしれません。でも、4〜5歳でも「かわいくなりたい」「こんなふうになりたい」という気持ちを持つのは自然なこと。微笑ましいと思う気持ちからでも、からかったり、笑ったりするのは、子どもの自尊心を傷つけてしまうことにもつながりかねません。
大人も子どもも、また女の子も男の子も、好きならば自由にメイクを楽しむのが今の時代です。
親世代の価値観をアップデートし、子どもの「やってみたい」と思う気持ちをつぶさないように見守ってあげたいものだと思います。
イガリ シノブ/ヘア&メイクアップアーティスト[BEAUTRIUM]
多くの女優・モデル・アーティストから信頼を寄せられるヘア&メイクアップアーティスト。コスメブランド〈WHOMEE〉の監修を務める。主な著書に、『イガリメイク、しちゃう?』(宝島社)など、多数。2児の母でもある。2024年6月に、子どもと一緒に楽しめるイベント「イガリシノブ展」をラフォーレ原宿にて開催する。
Instagram:
@igari_shinobu