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産後のママをサポートする「産後ドゥーラ」を知ろう!

掲載日:2024/8/21
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多くのママにとって、産後の生活でもっともつらい時期は赤ちゃんの出生直後から生後27日までの「新生児期」。赤ちゃんは愛らしいけれど、身体が出産のダメージから回復しない状態のまま2~3時間おきに授乳して、昼夜を問わずぐずる赤ちゃんをあやして…。初めての出産の場合はもちろんのこと、2人目、3人目の出産であっても、体力的・精神的に追い詰められてしまいがちです。そんなママたちの強い味方が、産後の女性に寄り添い、家事や育児などさまざまなサポートをしてくれるスペシャリスト「産後ドゥーラ」の存在。具体的なサポートについて、ドゥーラ歴7年の水島ゆかりさんにお話をうかがいました。

ベビーシッターとはどう違う? 産後ドゥーラの役割

ここ数年、メディアなどで取り上げられて知名度が向上しつつある産後ドゥーラですが、もしかしたら初めて知ったという方もいらっしゃるかもしれません。私自身、「産後ドゥーラって何?」と聞かれることが多く、そんなときはいつも「保健師とベビーシッターと家事代行とヘルパーをミックスしたような仕事」とお答えしています。

もう少しわかりやすく言うと、「出産直後の女性のご家庭を訪問し、日常生活のほとんどすべてをサポートする仕事」でしょうか。というのも、出産直後の女性は出産により体内が大怪我を負ったような状態にあり、体力が著しく低下しています。また、ホルモンバランスが崩れて精神的にも不安定になるため、心身を休める必要があります。

そこでママに代わって、赤ちゃんのお世話をしたり、家事をしたりするのが産後ドゥーラの役割。ベビーシッターと違って、ご家族の食事も作りますし、掃除や洗濯、買い物やゴミ出しもします。その間、ママのやることといえば授乳くらいで、あとはずっと横になって休んでいてかまいません。ママの気持ちに寄り添いながら、状況に合わせてサポートを行います。



どんなサポートを、いつ、どうすれば受けられる?

●育児サポート:おむつ交換、沐浴、着替え、抱っこ、傾聴(赤ちゃんとのコミュニケーション)、寝かしつけ、ミルク、上の子のお世話(保育園の送迎、食事補助、公園などへの外出の付き添いや遊び相手)など
●家事サポート:食事作り(作り置き、離乳食にも対応)、洗濯、掃除、買い物、ゴミ出しなど
●ママサポート:話し相手、育児相談、授乳指導、検診などの外出の付き添いなど

産後ドゥーラのサポートを受けられるのは、妊娠中~出産後1年半の期間(その後、延長も可能)。産後ドゥーラがご自宅などを時間単位で訪問し、ママとご家族の日常生活をサポートします。産後ドゥーラとして活動するには資格が必要なので、ドゥーラは赤ちゃんのお世話や調理に必要な専門知識と技術を身につけていますし、私を含め、自身の育児経験が豊富なドゥーラも数多くいます。

ママへのサポートも重要な役目のひとつで、授乳指導やお子さんの発育・発達に関する相談も行います。ただし、医療行為と見なされることは原則禁止。ママの身体がつらい、だるいときに軽くさするくらいのことはできますが、産後の傷口が痛い、乳房が張って痛いといった場合は専門の機関におつなぎします。

ドゥーラのサポートを利用できる時間帯やエリアは、ドゥーラによってさまざま。私はご依頼があれば24時間365日どこへでも行きますし、泊まり込みのサポートにも対応しています。ただ、私のようなケースは珍しく、一般的には日中に活動するドゥーラが多い印象です。

料金もドゥーラや地域によって変わりますが、目安は 1時間 3,000円前後。最近は補助金や助成金が出る自治体が増えてきているので、一般社団法人ドゥーラ協会のHPや各自治体のHPを確認してみてください。



職業としての「産後ドゥーラ」の広がり

ドゥーラという言葉の由来は、「女性を援助する女性」を意味するギリシャ語。世界50カ国以上で定着している職業で、特にアメリカでは出産入院が48~72時間と短いため、多くの女性がドゥーラのサポートを受けていると言われています。

日本では、東京都助産師会会長で助産師の宗祥子先生が、アメリカを視察して「今後、日本でも産後ドゥーラが必要になる」と感じ、2012年に「一般社団法人ドゥーラ協会」を設立。現在、関東を中心に800人以上の認定ドゥーラがいます。私は2016年にテレビの情報番組で産後ドゥーラの存在を知り、すぐに資格取得のための勉強を始めました。

それほどドゥーラという職業に惹かれた理由は、自分の子育て経験にあります。私は4人の子どもの母親で、一番上の子と一番下の子の年の差は、なんと20歳。長男が生まれたときは同居している義母や近所に住む実家の母親がいて、子育てを助けてもらったり、いろいろな知識を教えてもらったりできましたが、それから20年経って末っ子が生まれたときは誰のサポートも期待できず、ほとんどワンオペ状態で子育てする必要に迫られました。

それがつらかったのに加え、当時できた若いママ友たちが私より大変そうにしていたことにも心を痛めました。時代や環境の変化により、今の若いママたちは昔ほど血縁や地縁のサポートを受けられなくなっています。さらに情報社会の進展によってインターネットに育児にまつわる情報があふれ、何を信じていいのかわからなくなってしまっているようでした。彼女たちを見て、自分の経験を活かしてお手伝いできればいいのに、とずっと思っていたんですね。

そんなときに産後ドゥーラの存在を知り、「これだ!」とピンときたわけです。テレビを見たその日のうちにドゥーラ協会に問い合わせ、そこから4カ月かけて資格を取得しました。

mamaomoi 写真提供:水島 ゆかりさん (写真提供:水島 ゆかりさん)


実際の様子は? 現役ドゥーラが語る仕事のやりがい

産後ドゥーラになってからの7年間で、いろいろなご家庭を訪問しました。新しく赤ちゃんを迎えるご家庭からの直接の依頼はもちろんのこと、ママの親御さんから「うちの娘が初めて出産するけれど、自分たちは高齢でサポートできないから助けてあげてほしい」と依頼をいただくことも少なからずあります。

私がサポートに入ることでご家庭の人たちが安心し、心にゆとりを持って赤ちゃんに向き合っている姿を見ると、本当にうれしいです。

なかなか母乳を飲んでくれない赤ちゃんの授乳がスムーズになったとママから感謝されたり、上の子が懐いてくれてお友だちも一緒にみんなで公園へ行ったり、パパが料理を気に入ってくれて「レシピを教えてほしい」と言われたり。ドゥーラの仕事をやっていてよかったと実感した瞬間は数え切れないほどあります。



遠慮せず他人を頼り、楽しい子育てを!

これから赤ちゃんを迎えるプレママや、今まさに乳児のお世話をしているママにお伝えしたいのは、とにかく遠慮せずに他人を頼ってください、ということ。女性は男性に比べて我慢強いと言われ、「ほかのママもやってるんだから自分もやらなきゃ」「私がしっかりしなきゃ」などと思いがちですが、そうした考えは産後6~8週間の産褥期に関しては捨ててほしいです。

ママの心身の健康は、本人だけでなく赤ちゃんにとっても大事なことです。赤ちゃんはスキンシップによって親の気持ちを感じとることができるので、ママが子育てによる不安や睡眠不足でイライラしていたり、余裕がなかったりすると、それが伝わってしまいます。また、子育てによる疲れやストレスから夫婦関係が悪化する、いわゆる「産後クライシス」にも陥りかねません。

だから、他人を頼ってください。私たちドゥーラは、そんなときの選択肢のひとつ。産褥期を経験することは人生にそう何度もないのですから、楽しい子育てをするために、つらいことや苦手なことは他人に任せようと、開き直るくらいの心持ちでいてもいいのです。その結果、「子育てって楽しい! 」と思ってくれるママが増えることを願っています。

水島 ゆかり

水島 ゆかり/一般社団法人ドゥーラ協会認定 産後ドゥーラ
福井県在住。20歳で初めての出産を経験し、その後も会社勤めをしながら4人の男の子を育てる。2016年、会社勤めをする傍ら、産後ドゥーラの資格を取得。2017年に退職し、保育所で働きながら産後ドゥーラ開業の準備を進める。2018年、妊産婦の暮らしをサポートするドゥーラサロン「ママのまま」を開設。産後ドゥーラとしての活動のほか、サロンにてパパ向けセミナーなど、さまざまなイベントを実施中。
https://www.doula-yukari.jp/

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