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ラン活スタートはいつ? 人気の色は? 今どきのランドセル事情

掲載日:2024/10/30
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毎年秋になると、SNSやネットで見かける機会が増える“ラン活”という言葉。ラン活とは、小学校入学を控えた子どもの保護者が、ランドセル購入のために行う活動のこと。ここ数年、開始時期がどんどん早くなったり、その加熱ぶりが注目されています。実際のところ、いつ始めればいいの? どんなランドセルを選べばいいの? などなど、ラン活の際に押さえておきたいポイントを、一般社団法人日本鞄協会 ランドセル工業会会長の林 州代さんに教えていただきました。

いつ頃からチェックして、いつまでに購入するべき?

ランドセルメーカーが新作の発表に向けて本格的に動き出すのは、例年10~11月。ラン活をした経験のない方だと「年長さんを対象にしているのかな?」と思うかもしれませんが、そうではなく対象は年中さんです。2024年10月には、2026年度入学者を対象にした新作ランドセルのカタログ請求が始まるのです。

「早い!」と驚いた方も、焦る必要はありません。すべてのメーカーの新作カタログが出揃うのは年が明けた1月から2月にかけてなので、そのタイミングで気になるブランドのカタログを請求したり、ウェブサイトをチェックすれば充分。いくら人気の商品でも、この段階で売り切れることはほとんどないと思います。

その後、実物のランドセルを見て検討するのは3月になってから。実は、3月21日は「ランドセルの日」として制定されていて、その日を境に百貨店や専門店の店頭に新作ランドセルがずらりと並ぶようになります。それから5月くらいまでは新作が豊富に揃う状態が続くので、そのタイミングで購入の最初のピークが訪れる印象です。

ランドセルの購入時期

【グラフ出典】一般社団法人日本鞄協会 ランドセル工業会「ランドセル購入に関する調査 2024年」:ランドセルの購入時期

【グラフ出典】一般社団法人日本鞄協会 ランドセル工業会「ランドセル購入に関する調査 2024年」

人気商品の中には5月のGW明けに完売してしまうものもありますが、8月、9月になって購入する方も少なくありません。2024年の場合は10月になってもポツポツと売れ続けていて、夏が終わってから「見始めたばかりです」と見学に来る方もいらっしゃいましたね。



早いラン活開始のメリットとデメリット

当然ながら、ラン活の開始時期が早ければ好きなランドセルを選び放題ですし、オーダーメイドの商品でも余裕をもって注文することができます。人気商品をどうしても手に入れたい場合や、オーダーメイドのものがほしい場合は早めに活動を開始したほうがいいでしょう。

一方、特に買いたいランドセルが決まっていない場合は、早い段階でラン活を始めると、ラインナップが豊富すぎてどれを選べばいいのかわからなくなることもあるようです。あえて言えば、それがデメリットかもしれません。

逆に、遅く購入する場合のメリットは、選択肢が限定されているので悩まないこと。デメリットはオーダーメイドだと間に合わず、人気商品は売り切れてしまう可能性が高いこと。夏を過ぎるとランドセルがまったく残っていない、なんてことはありませんが、やはり数は減ってしまいます。



人気色や予算は? トレンドを知りたい!

かつてはランドセルといえば女の子は赤の箱型、男の子は黒の箱型と相場が決まっていたものですが、最近は色もデザインもさまざまな商品が生まれています。

2024年4月に小学校に進学する子どもの保護者に実施したアンケート調査によると、「購入した商品の決定理由」としてもっとも回答が多かったのは「子どもの好きな色だった」(51.7%)。半数以上の人が色を重視して選んだことがわかります。

購入した商品の決定理由(上位10項目、複数回答)

【グラフ出典】一般社団法人日本鞄協会 ランドセル工業会「ランドセル購入に関する調査 2024年」:購入した商品の決定理由(上位10項目、複数回答)

【グラフ出典】一般社団法人日本鞄協会 ランドセル工業会「ランドセル購入に関する調査 2024年」

次に多かったのは「デザインがよかった」の35.5%で、以下、「軽かった」「フィット感があり、背負いやすそう」と続きます。機能性や丈夫さよりもデザイン性が重視されるようになったのが、ここ数年の大きな特徴だといえるでしょう。

では今、人気の色は何かというと、女の子の1位は「紫/薄紫」系。2位は「ピンク」、3位は「水色」ときて、4位になってようやく「赤」がランクインします。

購入したランドセルの色(上位5項目)

【グラフ出典】一般社団法人日本鞄協会 ランドセル工業会「ランドセル購入に関する調査 2024年」:購入したランドセルの色(上位5項目)

【グラフ出典】一般社団法人日本鞄協会 ランドセル工業会「ランドセル購入に関する調査 2024年」

一方、男の子の1位は不動の「黒」。ただし、黒を選ぶ人の割合は年々減少しているのに加え、「黒」と回答した人も、実際に購入したのは黒地にゴールドのパイピングがあしらわれたランドセルだったり、黒地に青のステッチが入ったランドセルだったりと、ただの真っ黒ではないものを選ぶ傾向があります。

近年は「女の子はこの色」「男の子はこの色」といった昔ながらのジェンダー規範が薄れつつあり、たとえば2024年は戦隊モノの影響で「赤」を選ぶ男の子も多かったようです。男の子が選ぶ人気色に「赤」や「ピンク」が入ってくるのも時間の問題かもしれませんね。

次に、サイズと素材を見てみましょう。サイズでもっとも多かったのは、A4フラット型。現在の教科書やプリントの主流サイズであるA4に合わせて、ランドセルも昔より大きくなっているんです。

購入したランドセルのサイズ(左)と素材(右)

【グラフ出典】一般社団法人日本鞄協会 ランドセル工業会「ランドセル購入に関する調査 2024年」:購入したランドセルのサイズ(左)と素材(右)

【グラフ出典】一般社団法人日本鞄協会 ランドセル工業会「ランドセル購入に関する調査 2024年」

素材は、クラリーノ(人工皮革)が最多の30.8%、次に天然素材(牛革・馬革)が計23.2%と続きますが、いずれも減少傾向にあります。一方で、「その他」や「わからない」と回答する人の割合が増加していることからもわかるように、同一の素材で作られていないアイテムを選ぶ人も少しずつ増えてきているようです。

購入したランドセルの購入金額帯は65,000円以上と答えた人が最多の37.6%。先ほどお伝えしたように、ランドセル自体のサイズが大きくなっていること、消費者物価指数が軒並み増加していることから、ランドセルの平均価格も増加傾向にあります。

購入金額帯

【グラフ出典】一般社団法人日本鞄協会 ランドセル工業会「ランドセル購入に関する調査 2024年」:購入金額帯

【グラフ出典】一般社団法人日本鞄協会 ランドセル工業会「ランドセル購入に関する調査 2024年」

ランドセルの支払者は誰かというと、父方と母方を合わせた祖父母がもっとも多く、合計で54.5%。おじいちゃん・おばあちゃんが孫に買ってあげる習慣は、昔から変わっていないようです。

購入したランドセルの支払者(左)と決定者(右)

【グラフ出典】一般社団法人日本鞄協会 ランドセル工業会「ランドセル購入に関する調査 2024年」:購入したランドセルの支払者(左)と決定者(右)

【グラフ出典】一般社団法人日本鞄協会 ランドセル工業会「ランドセル購入に関する調査 2024年」

購入したランドセルの決定者は「本人」が81.1%で、圧倒的に多いです。最終的に親が「良いランドセル」を見極めてあげるのか、子どもの好みを優先するのかは悩ましい問題で、お子さんに一任すると、選択肢が多すぎてなかなか決められない、あるいは大きなリボンやキラキラの装飾が付いたランドセルなど、ギョッとするようなものを選んで困ってしまった…なんてことはよくある話。私もよく「どうやって決めたらいいかわからない」と相談を受けます。

そんなときは、あらかじめ親御さんが5つほど候補をセレクトしておいて、その中からお子さんに決めさせてあげてください。そうすれば、「自分で選んだ」というお子さんの自己決定感が高まって新生活へのモチベーションが向上しますし、保護者も「あなたが決めたんだから、6年間大事に使ってね」と言うことができます。



これだけは押さえておきたい、ランドセル選びのコツ

カタログやウェブサイトで気になるランドセルをいくつかピックアップしたら、最後は実物を見て決めるようにしましょう。手に取って触るだけでなく、お子さんに背負わせて使用感を確かめてください。選ぶ際に気をつけてほしいのは以下の4つのポイントです。

① 身体へのフィット感
お子さんの体型には個人差があります。なで肩の子もいれば、いかり肩の子もいるし、胸板が厚い子もいれば薄い子もいます。まだ身体が出来上がっていない小学校低学年のうちは、身体に合わないランドセルを使うと成長に悪影響を及ぼすおそれもあります。
そこで、実際にランドセルを背負ってみて、肩ベルトが痛くないか、背面クッションに違和感がないかなどをチェックしましょう。このとき、ランドセルに1.5kg~2kgくらいの物を入れて背負うと、より正確な使用感がわかります。

② 芯材の硬さ
ランドセルの最大の特徴といえば、箱型のフォルムです。長年にわたってこの形状が採用されているのには理由があって、大容量の通学カバンとして優秀なのはもちろんのこと、実はランドセルにはお子さんを災害や事故から守る役割もあり、そのときに活躍するのが箱型フォルムなんです。
ランドセル工業会のもとへは、ランドセルが子どもを守ってくれたというエピソードが毎年のように届きます。「転倒時、ランドセルがクッションになって頭を打たなかった」「交通事故に遭ったけれど、ランドセルを背負っていたので軽傷で済んだ」といった事例が多いですね。
では、どんなランドセルならお子さんを守れるかというと、側面にあるマチの部分をぎゅっと握ってみて、ぐにゃりとならなければOK。芯材がしっかり入っている証拠なので、少々の衝撃では箱型は崩れないはずです。

③ 縫製や金具などのディテール
6年間続けて使うことを考えれば、縫製や金具などのディテールも確認しておきたいところです。縫製については、縫い目がきちんと揃っているか、しっかりと糸が締まっているかを見るようにしてください。
また、ランドセルに数多くついている金具もチェックしておきたいポイントのひとつ。鋲の1つひとつがきちんとかしめられているか、動かないかを確認するようにしましょう。

④ 保証制度
どんなに大切にランドセルを使っていても、途中で故障してしまう可能性はゼロではありません。現在、販売されているランドセルのほとんどには「6年間保証」が付いていますが、無料修理の範囲がメーカーによって若干異なるので、購入前に詳細を確認しておくのが無難です。

ランドセル認定証

ランドセル工業会が定める規格に適合し、安心して6年間使えるランドセルに付いている認定証。メーカーと工業会のダブル修理保証付き。

手前味噌になりますが、ランドセル工業会による認定証が付いたランドセルであれば、メーカー保証がはっきりとしない場合でも、私たちが6年間の無料修理を保証します。保証を重視するという方は、ぜひ選択肢のひとつに加えてみてください。



ラン活は子どもの一大イベント。とにかく一緒に楽しんで!

最近のランドセル戦線の過熱ぶりに、“ラン活”と聞いただけでストレスを感じるママやパパもいらっしゃるのではないでしょうか。私自身、相談を受けた電話口で「何を選んでいいかわからない」と泣かれて驚いたこともあります。

決して安い買い物ではありませんから、慎重になってしまう気持ちはよくわかります。けれども、お子さんにとってランドセルは、義務教育の開始という人生の一大イベントを象徴するようなわくわくするアイテム。価格やデザインにかかわらず、最終的に自分で選んだものなら「その子にとっての一番」になってくれるはずです。

今は面倒に感じる家族会議や百貨店行脚も、あとから振り返れば良い思い出になるもの。どうせなら楽しもう!という精神で、ご家族のみなさんでラン活を満喫していただければ幸いです。





【グラフ出典】
一般社団法人日本鞄協会 ランドセル工業会「ランドセル購入に関する調査 2024年」
https://www.randoseru.gr.jp/graph/

林 州代

林 州代(はやし・くによ)/一般社団法人日本鞄協会 ランドセル工業会会長、株式会社村瀬鞄行代表取締役
大学卒業後、4年間の中学教師を経て、実家である名古屋の老舗ランドセルメーカー・株式会社村瀬鞄行に入社。2011年、代表取締役に就任。村瀬鞄行の代表として、また、ランドセル工業会の会長として、日本および世界に日本製ランドセルをPRすべく、精力的に活動している。

一般社団法人日本鞄協会 ランドセル工業会: https://www.randoseru.gr.jp/
村瀬鞄行: https://www.murasekabanko.co.jp/

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