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赤ちゃんとのお風呂は、親子のふれあいの大切なひとときですね。でも、ワンオペ育児では、「お風呂は一番の難関」と感じるママ・パパも少なくありません。特にまだ首もすわっていない低月齢の赤ちゃんをひとりでお風呂に入れるのは、新米ママ・パパにとって緊張の連続ではないでしょうか。
そこで今回は、助産師で看護師の古市菜緒さんに、ワンオペお風呂を安心して乗り切るためのコツを教えていただきました。
赤ちゃんのお風呂の第一目的は、汗などの汚れを落とし、体を清潔にすることです。大人はのんびり湯船に浸かってリフレッシュすることも多いものですが、赤ちゃんに長風呂は禁物です。体温調節機能が未熟なため、体温が上がりすぎてのぼせてしまう心配があります。
入浴時間の目安は、全体で10〜15分ほどが理想です。手早く体を洗い、湯船に浸かるのは3分から、長くても5分までにとどめましょう。
また、赤ちゃんを湯船に入れる際には、誰も入浴する前の「一番風呂」にすることも大切です。お湯が汚れにくく、衛生的な状態で赤ちゃんを入浴させることができます。
赤ちゃんをスムーズにお風呂に入れるためには、なんといっても準備が肝心。必要な場所に必要なものが用意されていれば、ひとりでもあわてず、段取りよく入浴から着替えまでの流れをコンプリートできます。
CHECK1:室温は適温になっている?
脱衣所、浴室、お風呂上がりに保湿や着替えをする部屋の室温を確認しましょう。大人が快適に過ごせる温度であれば大丈夫。秋冬なら、目安は20度前後です。
特に冬場の入浴で注意したいのが、脱衣所です。ママ・パパが体を洗っている間、脱衣所で赤ちゃんを待たせておく場合には、赤ちゃんが寒くないように準備しましょう。浴室暖房があるお風呂なら、ドアを開けて脱衣所まで暖気を流すのもおすすめです。ミニヒーターなどの暖房器具を設置する場合は、赤ちゃんが触れない場所に置き、火傷の危険がないように気をつけましょう。
CHECK2:必要なグッズはそろっている?
お風呂に入ってから「ソープがきれていた!」、お風呂を出てから「着替えがなかった!」とあわてることがないように、事前に必要グッズや、あると便利なものをチェックしておきましょう。
※必需品は●、あるといいものは◯で表示しています。
□お風呂で使うもの
●ベビーソープ(泡タイプが便利)
◯ベビー用バスマット、赤ちゃんが座れるベビーバス、バスチェア
◯お風呂用おもちゃ
□お風呂上がりに使うもの
●バスタオル
●着替え
●おむつ
●保湿剤(ローションやクリームなど)
脱衣所で赤ちゃんに待機してもらう場合は、バスタオルやマット、バウンサーなど、赤ちゃんが安全に待機できる場所を作ることも大切です。
準備ができたら、いよいよ赤ちゃんとお風呂へ! 手順をシミュレーションしておけば、初めてのワンオペお風呂でも落ち着いて入れられますよ。
STEP1:赤ちゃんの服を脱がせ待機場所へ
浴室や脱衣所の広さなどによっても、赤ちゃんをどこで待機させるのがよいかは異なります。
脱衣所で待機させる場合は、赤ちゃんの服を脱がせ、寒くないように肌着をかけてあげましょう。おむつを確認して、おしっこだけならそのまま、うんちをしていたらおしりをきれいに拭いて、新しいおむつを当てておきます。
浴室で待機する場合は、裸にしてバスマットやバスチェアなどに寝かせましょう。
STEP2:大人の体を洗う
まず、赤ちゃんをお風呂に入れる人(ママ・パパ)が、自分の体を洗います。脱衣所に赤ちゃんを待機させている場合は、浴室のドアを少し開け、赤ちゃんの気配を感じながら洗います。浴室内に一緒に入る場合も、赤ちゃんから目を離さないようにしましょう。
ワンオペお風呂では、お風呂から出たあとも赤ちゃんの保湿や着替えで、すぐにドライヤーはできないもの。髪の毛が長いママは、洗髪後にさっとタオルで拭いて巻き上げたり、タオルキャップをしておくとよいでしょう。
STEP3:赤ちゃんを洗う
ベビーバスやスポンジマットの上で洗っても、ママ(パパ)の膝に抱っこして洗っても、どちらでもかまいません。
赤ちゃんを洗う順番は、「顔→頭→体」が基本です。
頭は、髪の毛というより頭皮を洗う意識がポイント。泡立てたベビーソープを頭につけ、指の腹で地肌をしっかりと洗います。耳の後ろや首の後ろも洗い残しがないように注意しましょう。頭からシャワーをやさしくかけてあげると、赤ちゃんは自然に目を閉じます。顔にお湯がかかっても赤ちゃんはこわがらないので、小さな頃からシャワーに慣れさせておくのがおすすめです。
首、脇の下、足のつけ根なども皮脂や汗がたまりやすい場所です。泡をつけ、指の腹でやさしく洗いましょう。
背中を洗うときは、抱っこの場合は、大人が上体を少し後ろにして、赤ちゃんをもたれかからせるようにします。ベビーバスの場合は、赤ちゃんをベビーバスのふちにもたれかからせるようにすると洗いやすいですね。背中は、普段なかなかチェックできない場所。お風呂の際に、湿疹やかぶれがないかなどをチェックしましょう。
最後に、おしりや性器を洗います。
男の子の場合は、睾丸部の皮膚をのばすようにしながら洗い、お湯できれいに流します。お湯を流すときに、陰茎をちょっと出してあげると、清潔を保てます。
女の子の場合は、大陰唇の溝に沿って指の腹でやさしく洗い、お湯で流しましょう。
STEP4:湯船に浸かる
体をきれいに洗ったら、湯船に。赤ちゃんを膝にのせて、すべったり落ちたりしないように固定しましょう。ママ・パパがひとりで入浴させる「ワンオペお風呂」のときには、必ずしも湯船に浸からせなくてもかまいません。体を洗い終わったら、温かいシャワーをかけて体を温めてあげるだけでも充分です。
STEP5:体を拭いて保湿する
お風呂から上がったら、すぐにバスタオルにくるんで体を拭いてあげましょう。タオルでごしごしこすらず、押し当てるようにして水気を吸い取るのがポイント。
その後、保湿ローションやクリームを適量手にとり、顔と全身を保湿します。赤ちゃんの皮膚は大人の半分ほどの薄さしかなく、バリア機能も未熟です。赤みやカサカサなどのトラブルがなくても、お風呂上がりには毎日欠かさず保湿をしてあげることが大切です。
STEP6:着替え&授乳
用意しておいた着替えを着せて、母乳や育児用ミルクを飲ませましょう。白湯や麦茶、果汁などを飲ませる必要はありません。
赤ちゃんとのお風呂はスピード勝負。特にお風呂上がりのママ・パパは、自分の体を拭くのもそこそこに、赤ちゃんの保湿に着替えにとバタバタですね。そこでおすすめのグッズが、バスローブ。お風呂上がりにサッと羽織れば、水分を吸い取ることができて、保湿や着替えなどのお世話をしている間も寒くありません。また、洗髪後にすぐタオルキャップをしておくと、ドライヤーの時間が短縮できます。ママは自分のスキンケアもすぐにはできないので、洗顔はお風呂では行わず、「落ち着いた時間に洗面所で」というのも一案です。
赤ちゃんの機嫌がいい時間に設定することも、スムーズにお風呂に入れるための重要ポイントです。
大人は1日の活動が終わった夕方以降に入浴するのが一般的ですが、低月齢の赤ちゃんの場合は、午前中でもかまいません。
授乳から少し時間をあけた機嫌のいい時間をみはからって、お風呂タイムとしましょう。毎日できるだけ同じ時間帯にお風呂に入れるようにすると、次第に生活リズムが整います。
夜の就寝前にお風呂に入れて、保湿、授乳をしてそのまま寝かしつける、というパターンの家庭も多いですね。低月齢の頃から習慣化しておくと、入眠のルーティンとなって、寝かしつけがラクになることも期待できます。
もちろん午前中やお昼寝のあとなど、タイミングは親子ごとに違ってOK。ママ・パパのライフスタイルに合わせて、余裕を持てる時間に設定するとよいでしょう。
上の子と赤ちゃんをワンオペでお風呂に入れる場合は、まず上の子から体を洗います。赤ちゃんは脱衣所、または浴室にバスマットやバスチェアを置いて待機させましょう。体を洗い終わったら、上の子は湯船に入って待っていてもらいましょう。手早くママ(パパ)が体を洗い、その後、赤ちゃんを洗います。浴槽内に待機させる場合は、万が一にも溺水の事故が起こらないよう、お湯の量は少なめにし、上の子の様子を常に気にかけ、目を離さないようにしましょう。
お風呂から上がるときは、赤ちゃんをタオルでくるみ、上の子を拭きます。その後、ふたりとも順番に保湿をし、着替えさせましょう。
双子の場合、少なくともおすわりができるようになるまでは、赤ちゃんだけ入浴させるのが安全です。ひとりずつベビーバスなどに入れて洗い、シャワーでやさしく流してからタオルでくるみ、保湿をしたら、もうひとりの赤ちゃんを洗う、という手順です。
ベビーバス2つ、もしくはバスマットやバスチェアが2つあれば、ひとりずつ交互に洗うことも可能です。
ワンオペでのお風呂はせわしなく、また自分の洗顔や洗髪中も常に赤ちゃんを気にしなければならないために、落ち着かないものですね。万が一にも事故が起こらないようにと、毎回、緊張しながらお風呂に入っているママ・パパも多いでしょう。
ただ、多くの赤ちゃんはお風呂が大好き! 温かいお湯に浸かると「ほー」っと口をすぼめたり、ふわーっとリラックスして手を開いたり、かわいい仕草や表情を堪能できる時間でもあります。
ひとりで入れるのは大変ですが、「赤ちゃんが好きなことをしてあげる時間」と思うと、ちょっと気持ちにも余裕ができるかもしれません。
また、時間がない日や体調がすぐれない日などは、無理にお風呂に入れなくても大丈夫。お湯を含ませたタオルで体を拭く、汚れやすいおしりだけ座浴させるなどの方法もあります。
一般的には沐浴は生後1カ月くらいまで、その後、徐々に大人と一緒にお風呂に入るようにする、とされていますが、赤ちゃんと一緒にお風呂に入るのが心配ならば、ベビーバスでの沐浴を続けてもかまいません。気負わず、無理なく、ママ・パパが安全に赤ちゃんを清潔にしてあげられる方法を優先しましょう。そして、今しかない赤ちゃんとのスキシップを思いっきり楽しんでくださいね。
古市 菜緒/助産師・看護師・保健師、バースコンサルタント代表
助産師として1万件以上の出産に携わり、8千人以上の方を対象に産前・産後のセミナー講師を務める。海外生活を機にバースコンサルタントを起ち上げ、現在、企業の「妊娠・出産・育児」関連のサービス、開発、監修、産院のコンサルタント、国・自治体の母子保健関連施策などに従事。2児の母。
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