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乳がんの早期発見につながる「ブレスト・アウェアネス」とは

掲載日:2023/10/4

乳がんは、女性がかかる悪性腫瘍のうち、罹患率第1位。30代後半から急増し、毎年およそ9万人が新たに乳がんと診断されていて、決して他人事ではありません。一方で、乳がんは早期発見・早期治療でほとんどが治るともいわれています。だからこそ、「ブレスト・アウェアネス」がとても大切。
今回は、乳がんについての啓発活動に取り組む 認定NPO法人J.POSH 理事・事務局長の平田 以津子さん にお話をうかがいました。



「ブレスト・アウェアネス」って何?

ブレスト(breast)は「乳房」、アウェアネス(awareness)は「意識する」を意味する言葉で、ブレスト・アウェアネス=「乳房を意識する生活習慣」のことをいいます。暮らしのなかで、普段から乳房のセルフチェックを習慣にすれば、小さな変化にもいち早く気づくことができますよね。
乳がん患者さんの実に約半数が自分で異変に気づいているということからも、乳房の状態を知っておくことがいかに大切かわかります。

「検診を受けているから大丈夫、と思われるかもしれませんが、検診を受けるのはほとんどの方が1~2年に一度。『来年、検診があるから』と安心するのではなく、普段から意識することが大切です。たとえば歯の治療も、少しの虫歯なら短期間で終わりますよね。 しかし、進行してしまうと治療に時間と費用がかかり、つらい思いもします。乳がんも同じなんです」



ブレスト・アウェアネスの4つのポイント

「乳房を意識した生活」を送るために、具体的にどのように取り組んでいけばいいのかを、4つの項目にまとめました。

①自分の乳房の状態を知る 色やふくらみなど、見た目に変化がないか、触れたときの感触など、日頃の自分の乳房の状態をよく知っておきましょう。乳房だけでなく、ワキの下の状態も見ておくことを忘れずに。また、乳首を軽くつまんだときに分泌物が出ないかを調べてみましょう。
「普段からセルフチェックを取り入れていただき、月に一度は入念にチェックすることをおすすめしています」

②乳房の変化に気をつける ①で普段の乳房の状態を知ることで、はじめて変化に気づくことができます。乳房にただれや、これまでなかったくぼみやしこり、乳房やワキの皮膚が突っ張ったような感覚など、違和感を見逃さないようにしましょう。

③変化に気づいたら、すぐにかかりつけ医などに相談する 乳房のしこりや肌のひきつれなどの変化に気づいたら、すぐにかかりつけ医などに相談しましょう。
『何科に行けばいいんだろう?』『家の近所にない…』などと悩んでしまい、腰が重くなることもあると思いますが、自己判断はせずに、まずはお医者さんに相談しましょう。

④40歳以上になったら、最低2年に一度は乳がん検診を受ける 「マンモグラフィーは最低2年に一度は受けてほしい」と平田さん。
「もし乳がんと言われたら怖い」と思う方がいるかもしれませんが、進行してしまうほうがさらに大変です。多少の怖さはあるかもしれませんが、万が一の場合でも早期発見が大切。定期的に乳がん検診を受けましょう。



10月第3日曜日は「J.M.S(ジャパン・マンモグラフィー・サンデー)」 仕事や子育て、介護などで忙しく、平日では乳がん検診の時間がとれない女性が、休日の日曜日に「乳がん検診」が受けられるように、全国の医療機関と認定NPO法人J.POSHが協力して、毎年10月の第3日曜日に乳がん検診マンモグラフィー検査を受診できる環境づくりに取り組んでいます。2023年は10月15日の日曜日に行われます。これまで乳がん検診を受けたことがない方や、忙しくて受けられていない方など、日曜日に受診できる機会を活用しましょう。
詳しくはこちら https://jms-pinkribbon.com/



「ブレスト・アウェアネス」と「自己検診」は、どう違うの?

ブレスト・アウェアネスは、「生活習慣」として乳房を意識することを日常に取り入れることをいいます。一方、「自己検診」は、あくまでもブレスト・アウェアネスのポイントのひとつであり、最近では「乳房セルフチェック」という言い方をするようになっています。
自己検診というと、自分で医学的知識のないまま診断しているイメージです。変化に気づかず、放置することになってしまうのは危険です。
まずは、難しく考えず、自分の乳房の状態をよく知り、小さな変化にも気づけるように、次のような習慣を暮らしのなかに取り入れていきましょう。

●バスタイムで体を洗うとき、意識的に乳房に手で触れる。 ●就寝時に寝転んだときに、平たい状態の乳房を手で触る。 ●服を着替えるときに鏡で乳房の状態をチェックする。 ●月経後の乳房が柔らかい時期に入念に触ってみる。



入浴着「バスタイムカバー」
mamaomoi  認定NPO法人J.POSH 提供写真

※資料写真提供:認定NPO法人J.POSH 



“乳がん手術”を体験した方の発想で生まれた、手術の傷跡を気にすることなく公共浴場や旅館・ホテルの浴場、サウナが楽しめるように開発・製造された専用の入浴着です。2011年に厚生労働省から各都道府県などに対して周知された肌着で、着用できる入浴施設も少しずつ広がりを見せています。
素材はポリエステル・ナイロン・ポリウレタン製で、泡切れがよく、衛生面も問題なく使用することができます。入浴施設だけでなく、自宅でも術後まもない傷の保護や、小さなお子さんと一緒にお風呂に入る際の胸元のカバーなどにも使用できます。

「モニターの方から『安心してお風呂に入ることができた』という声も届いています。私どもも入浴着を周知してもらえるよう、『ピンクリボン温泉ネットワーク』に登録の入浴施設には入浴着歓迎のポスターを配布し、入浴着の無料貸出をしている施設もあるので、事前に確認してみてください。また、最近はネットワークに登録されていない施設でも、ポスター掲示が増えてきています。(平田さん)」


いかがでしたか? 乳がんは、がんのなかでも「自分で見つけることのできる」数少ないがんです。検診に頼るだけではなく、日頃から自分の乳房に意識を向けて、セルフチェックを習慣づけることが大切です。セルフチェックの方法はこちらも参考にしてくださいね。

https://cosuke.coopkyosai.coop/topic/ribbon/pdf/checkcard.pdf?20230801
https://www.j-posh.com/cancer/mammacheck/



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 平田 以津子

平田 以津子/認定NPO法人J.POSH 理事・事務局長
2002年2月、乳がんの正しい情報発信をはじめ、乳がん患者や乳がん患者家族への支援を目的とする団体「認定NPO法人J.POSH」を理事長の田中完児氏らとともに設立し、理事に。2020年より事務局長も務める。「受けよう、乳がん検査、早期発見で笑顔の暮らし」を合言葉に、乳がんで悲しむ人をひとりでも少なくしたいとの想いで、乳がん啓発活動を続ける。
※J.POSHは「Japan Pink-ribbon Of Smile and Happiness」の略です。
https://www.j-posh.com/

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